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創業よもやま話(第2話)


チバコピーとは?

前回は、弊社がカラーコピーサービスの専門店として創業した時のことを書いたが、

当時の機械はキヤノン製のトナー式カラーコピー機で、拡大・縮小の機能はなく、

もっぱら原寸コピーしかできなかった。ところが、実際には拡大・縮小ができる、もう一つのコピーマシンがあった。

それが、チバガイギー社(スイス)の『チバコピー』だ。
前にも書いたのだが、これはコピー機であっても、構造は大きなカメラだった。

それではチバコピーの操作について簡単に紹介しよう。

 

まず、原稿台にコピーしたい原稿を置く。原稿台の両側にはライト(ハロゲンランプ)が取り付けられていた。そして、原稿台の真上にはカメラのレンズがあり、倍率によってレンズ交換もできた。しかもカメラと同様、光量の調節をする絞りのメモリもちゃんとついていた。いわばミニ撮影キットといったところか。そのレンズの裏側に原稿が投影されており、後ろから画面を覗けるようになっていた。この構造は、昔の2眼レフカメラを想像するとわかりやすい。いや、2眼レフカメラが思い浮かばない方も多いかも知れない。カメラの上から被写体を覗くあのタイプです。ピントを合わせる作業もこの画面でする。

ここまでが、マシン全体の前半分くらいの説明になる。装置の高さは人の背丈ほどもあったろうか。一方、後ろの半分(高さは前部の半分程の箱型)が、撮影(コピー)された用紙(ペーパーやフィルム)の後処理を担っていた。箱型をした装置の天板を開けると、4つのスペースに区切られており、前から順に現像・漂白・定着・水洗の各処理部となっていた。最後に乾燥処理があって、撮影されてから数分(6分)後に機械のお尻のところからポトッと吐き出されるのである。プリントはまだ温かい。

コピー品質は当時の写真プリントより鮮やかで高い解像度があり、しかも長期の保存でも褪色がほとんどしないという優れものだった。この後にコニカの百年プリントというものが世に出たが、こちらはさらに上をいくものだ。
ペーパーだけでなく、(透明)フィルムもあり、OHPフィルム(最近はめったに見ないが)やコルトン(いわゆる電飾用のフィルム)もよくコピーした。さらにオプションのスライドユニットを付けると、ポジフィルムからもダイレクトにコピーができたし、撮影方式だから立体物もコピーができた。

当時、ポジフィルム(この言葉にピントこない方が増えたかもしれない。リバーサルとも呼ばれていた)を紙焼き(これも死語か?)しようとしたら、フジカラーなどの現像所に出して数日、プロラボ(懐かしい単語ばかり・・)でも丸1日以上はかかったように思う。

さて、このチバコピーで面白いエピソードがあるので紹介しよう。
通常のコピー機で使用する紙は普通紙が一般的だったが、チバコピーは現像式なので、写真と同じく感材が使われた(その為、カセットの用紙交換も光が入らないよう、黒い袋の中に手だけ突っ込んで行なっていた)。感材だからコピー紙よりも原価が高い。だからミスコピーするとコストもばかにならない。当然コピー操作も慎重になる。

テスト出しの機能もあったが、あまり利用せず、多くは一発勝負でやった。オペレータは経験と勘で、絞りと露光時間を設定する。そしてコピースタート。

ハロゲンランプの強い露光と同時に撮影が始まる。その間、数秒から長くて十数秒。そのわずかな間に、オペレータは自分が設定した数値に、ふと不安や葛藤がよぎる時がある。だからスタートした後でも、つい微妙な調整をしたくなる。
そんな時の為に、我々が「フラッシュ」と呼んでいた、とっておき(?)の方法があったのだ。
その「フラッシュ」とは?・・・次回に続く。

 

創業よもやま話(第3話)

 

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