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創業よもやま話(第4話)

インレタサービス始まる

弊社がインレタサービスを始めたのは、もう30年以上前になる。
 
当時、営業活動をしている中で、訪問先から「これなら需要があるよ」と聞いて始めた。
そのお客様というのが、大阪に本社があるサントリーのデザイン室だった。
 
それをきっかけに、缶ビールやウイスキーの新商品のデザイン段階で生じるダミー制作の仕事を頂くことになるのだ。
 
当時インレタは、クロマテック、イント、カラーキー、カラーイーズなど、色々な呼び名があった。
 
「カラーキー」は粘着のない透明フィルムに色がついたもので、それを製版フィルムと重ねて露光し、
現像液で不要な部分を取り除いたものだったと思う。
 
「イント」と「クロマテック」の違いは、はっきりと覚えていないが、イントは基本色のシートがあり、
特色が作れなかったように思う。
いずれにしても、化粧品をはじめ、様々なパッケージデザインのためのダミー制作をするためのものだった。
 
このサービスを始めるにあたって、当時大阪の上本町にあった「土井グラフィックセンター」へ見学に行った。
この名前を聞いて(特に関西で)、懐かしいと思われる方がおられるのではないか。
 
今はもうないが、㈱土井画材センターという国内大手の画材卸しの会社があり、
その関連会社に土井福應堂があった。そのショップがグラフィックセンターだったのだ。
 
さて、このクロマテックの制作手順だが、まず半透明のシートの上にカラーインキを塗布する。
このインキは,基本色が20数種類あったように思うが、DICやPANTONEカラー等で指定されると、
いくつかの基本色や白を混ぜたりして「特色」を作り出していた。
 
この特色をいかにお客様が要求する色に近づけるかが、我々の腕の見せ所でもあった。
 
そして、この時の経験が、その後の仕事に大いに役立つことになる。
というのも、日常の仕事の多くは色に関するものだったからである。
例えば、この色に何色(CMYKの基本4色)を足せば、あるいは引けばよいのか

要求されていたのだが、それが直観的にわかるようになったからだ。


クロマテックの混色で特に難しかったのはグレーだった。
 
わずかなインキの量の偏りがあると、青み・赤み・黄色みにころぶので、相当微妙な量を混ぜたりしていた。


その次は感光材を塗布し、製版フィルムと重ねて露光、漂白剤で不要部分を取り除き、
最後にのりを塗布して完成する。
 
工程はシンプルなようだが、初めのころは失敗の連続だった。
それを書くと長くなるが、失敗の原因は、主に感光剤の保存状態に起因するものだった。
 
このクロマテック、今だから言えるが利益率は高かった。
特色はA5サイズのもので5,000円程度したので、ほとんどが技術料のようなものだ。
 
さて、このインレタサービスは次第に需要が減っていくが、今でも国内でわずかに営業をされている会社もある。
インレタサービスの減少は、やはりデジタル機器の登場と普及が影響していた。
 
次回は、いよいよマッキントッシュの登場です。
制作現場における「デジタル黎明期」の悲喜こもごものお話をしますので、どうぞご期待ください。

 

 

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